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LOST RELIGION

LOST RELIGION

【 恩田 陸 】

■□■ エンド・ゲーム /  恩田陸 ■□■

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■「裏返さ」なければ「裏返される」??正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子。
だが母が倒れ、残るは一族最強の力を持つ娘だけに。
息もつかせぬ展開の果てに、驚愕の真相が明らかに!
最後のプレイヤーとなった娘が誘い込まれたのは、罠と嘘の迷宮だった…。 ■

■22-20sの感想■

■誰かさんが言ってましたが、読み終えた後の感じが、70年代プログレッシブロックの長ーい曲を聴き終えたあとの感じに似ています。
じらされて、じらされて、最後にストーンと何かが落ちたような感覚。

面白かったです。
恩田 陸の本を買いあさって、最初に手にしたのがこいつ。
前情報なしで読んでいるので、この作品が続編だと知りませんでした。。。
ですが、先入観なしに物語を楽しめたと思います。
巷の噂じゃ、前ニ作のがダントツに面白いらしいっすね。

これから、恩田の作品をすべて読み漁ろうとしている今日この頃。
まだまだ面白いのがありそうで楽しみです☆

裏返されないよう頑張んなくちゃな(笑)
あと、洗濯屋の能力にかなりの恐怖を感じました。
恐いっすよ。

この作品を読んでいて思ったのですが、
人間の記憶は曖昧。
日々、淡々と過ごしているんだけれども、(おいおい、何か大切なことを忘れちゃってないか?)
そんなことを、言われているような気がしました。

自分を見失わないよう、生きなくっちゃ。
そう強く思っていれば、洗濯屋ですら、入る余地なし。

最後に、こいつは良作ですよ。 俺は楽しめた(★★★)■
エンド・ゲーム エンド・ゲーム

■□■ ネクロポリス 上・下 / 恩田陸 ■□■

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■懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。
死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。
連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が―めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。

『お客さん』は、何処から来て、何処に往くのか?
あらゆる可能性が検証されるなか、アナザー・ヒルが変質しはじめる。
証言する死者たち、地下への冒険、そして、ヒガンの行方は―めまぐるしく展開するエンターテインメントの新しい神髄。■

■22-20sの感想■

■面白い。
ジャンル的にはミステリーMEETSファンタジーって感じで、物語の独特の世界観に酔わしていただきました。

舞台となっている国、Vファーではヒガンと呼ぶ、我が国、日本のお盆に似た風習があって、そのヒガンの期間中、(アナザーヒル)という場所には死者である「お客さん」がやってくる。

死者と生者が同じ時と場所を共有できるという、摩訶不思議な舞台で、
殺人があったり、人が行方不明になったり、密室を開けたらビックリ!あたり一面血の海だったり、かなり陰惨な場面もあったりする。

ここまでを聞くだけだと、なんだなんだ?グロくて、悪趣味な小説だな。。。って感じてしまうのだけど、そんななことは読んでくうちに微塵も感じなくなっていく。

だって殺されてしまった人が「お客さん」として現れ、一緒に食事して、酒を食らってるんだもん(笑)

この物語には普通考えられないことがしばしば起こるのだけれど、どこかあっけらかんとしていて、の~んびりした雰囲気がある。

そんな不思議で穏やかな感じが心地よく、いいなぁっと。

とても楽しめました。

値段が高いってとこ意外には特に文句はないっす(笑)

信仰や死生観など深いテーマを扱った作品でもあるので、面白いのはミステリーの部分だけじゃないと思う。

文化人類学ってのも面白そう。

異国の地を訪ねるような心境で読むと◎

世界観に浸らせていただきました♪(★★★★)■
ネクロポリス(上)ネクロポリス(上)ネクロポリス(下)ネクロポリス(下)

■□■  光の帝国 常野物語 / 恩田陸 ■□■

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■膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。
穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。
彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?
不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。
優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。■

■22-20sの感想■

■恩田さんは【空間】の描写がこの作品に限らず秀逸。

一度引き寄せられたら最後、読み終わるまでその世界に迷い込むような錯覚さえ覚えてしまう。
ノスタルジー漂う『光の帝国』、読んだ者だけが知る、そんな感覚に溢れた空間がこの本にはある。

ファンタジー的な要素が含まれているのだけれど、それだけじゃなく、どんな人間だって心の中にある優しさってやつ。
それをふんわりと出してくれる。
そんな温もりのある小説でした。
昨日読み終えたが、人目なんてお構いなし!って感じで泣いてしまった…
通勤帰りの電車の中(笑)(よくやっちゃうんです)

そんなことはともかく、出会えて嬉しい1冊。
お勧めです♪

この作品を読めば恩田陸さんがなぜ売れているかわかる。
そうはっきり言える魅力ある作品です。
現実からちょっと離れたいなってときにいいんじゃないかな。(★★★★☆) ■

光の帝国 光の帝国

■□■ チョコレートコスモス / 恩田陸 ■□■

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■「まだそっち側に行ってはいけない。そっち側に行ったら、二度と引き返せない。」
幼い時から舞台に立ち、多大な人気と評価を手にしている若きベテラン・東響は、奇妙な焦りと予感に揺れていた。
伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が芝居を手がける。
近々大々的なオーディションが行われるらしい。
そんな噂を耳にしたからだった。
同じ頃、旗揚げもしていない無名の学生劇団に、ひとりの少女が入団した。
舞台経験などひとつもない彼女だったが、その天才的な演技は、次第に周囲を圧倒してゆく。
稀代のストーリーテラー、恩田陸が放つ、熱狂と陶酔の演劇ロマン;演じる者だけが見ることのできる、畏るべき世界。
ふたりの少女が繰りひろげる華麗で激しい演劇バトル。
熱狂と陶酔の新・恩田ワールド!;「あたしはあなたと同じところに行きたい」; 舞台の上の、暗がりの向こう。
そこには何かが隠されている。
どこまで行けばいいのか?
どこまで行けるのか?■

■22-20sの感想■

■ああ。(ガラスの仮面)のオマージュだったのか。
読んだあとに気づきました。

しかし、そんなことはどうでもいいんです、自分は。
面白ければ、作品の出来が良ければなんだっていい。

これは面白かった。

恩田さんがやるとこうなるのかと感心してしまいます。
とにかく臨場感がすごい。
演劇のシーンのたたみかけるような臨場感。
特にラストの佐々木飛鳥と東響子の絡みは壮絶。

興奮の中、一気に読み上げました。

それはまるで、観客席に座わり、舞台を鑑賞している感覚なんですよ。(本の世界なのに)
しかも、ただ鑑賞しているだけじゃない。

身を乗り出し、前の座席の背もたれを握りしめ、食い入るように舞台を見つめる。。。そんな感覚。

それをこの作品では幾度となく味わえる。
良い舞台をいくつも生で体験したような、なんとも贅沢で気持ちのよい気分なんだろう。

役者たちの舞台、芝居にかける思い。。。その熱い情熱を見せつけられましたね。
なんだかゾクゾクしました。(★★★★☆)■

チョコレートコスモス チョコレートコスモス

■□■ 蒲公英草紙 / 恩田陸 ■□■

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■懐かしさと切なさあふれる感動長編。
;20世紀が幕を開け、少女の心は変化の予感にざわめく。
折しも村に不思議な一家がやってきて――。
運命が導く出会い、果たされる約束。
今最も輝いている作家・恩田陸の魅力あふれる感動作。■

■22-20sの感想■

■やっと読みました。
やたらと切なく救いのないような悲しい話。

暗くて、パッとしなくて地味な小説。

でも、なんかいいです。

独特の世界観の創り方など、恩田らしい仕上がりに。

変に調味料が入ってないとこがまたいいなあっと。
淡々としている感じが、日本っぽい。

人間らしい人、人間臭くて、不器用な人。
歪んでない人が登場する話のせいか、悲しいのに、読んだあと、爽快な気持ちになりました。

子供に聞かせるような、心地の良いテンポで語られる感じも◎

話は飛びますが、文中の日本画と西洋画の違いの解釈には驚きましたし、同感だなあと。

総合するといい本です。(★★★☆)■

蒲公英草紙 蒲公英草紙

■□■ ねじの回転(上)・(下) / 恩田陸 ■□■

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■過去を変えることはできるのか。
;人類を悲惨な運命から救うため、時間遡行装置による歴史の介入点に選ばれた1936年2月26日、東京。
歴史を修正すべき安藤大尉には別の思惑が…。
不一致。
再生を中断せよ!
;近未来の国連によって、2・26の首謀者たちに、もう一度歴史をなぞることが課せられた。
が、再生された時間は、史実から外れてゆき、「まだ誰も体験していない歴史」が始まろうとしていた。

歴史が思わぬ方向に向かい、その歴史の中で惨劇が始まる。
舞台裏の登場人物たちの思惑の中で正しい歴史を演ずることが困難になる。
残された時間の中で新たに歴史を演じ始める。
何が正しく何が違うのか。

恩田、渾身の歴史SF長編! ■

■22-20sの感想■

■これ、ものすんごくSFなんですね。

でも、すごい。
全然無理を感じさせない、ついていけないよ。。。ってならない。
変にその世界観を説明せずに、読者に想像させるのが、恩田さんはとにかくうまいですね。

もうこれは娯楽大作です。
歴史好きの自分にはめちゃくちゃ面白かったし、歴史に全く興味ない人もこれはいいです。

面白い。

話の構成も非常に凝っていて、最初は謎だらけ。
断片断片でなんじゃこりゃっとわかりづらいのですが(我慢してください。自分も我慢しましたから)
そんでもって、中盤からの洪水のように押し寄せる面白さでノックアウトできます。
ただの文章を読んでるとは思えないくらいSF映画的な斬新な映像が頭に浮かぶのもすごい。
恩田陸のエンタメ魂を猛烈に感じました。

つまらんSF映画観るくらいなら、これ読んだほうがいいっすよ。(★★★★)■

ねじの回転(上) ねじの回転(上) ねじの回転(下) ねじの回転(下)

■□■ ユージニア / 恩田陸 ■□■

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■あの夏、丸窓の屋敷で催された米寿の祝い。
運び込まれたジュースを飲み、17人が死んだ。
現場に残された謎の詩、「ユージニア」。
唯一生き残った、盲目の美少女。
緊迫感溢れる、極上のサスペンスミステリー!街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。
数十年を経て、今明かされる、遺された者たちの思い。
果たして、街の人々は、真実を語っているのか?
いったい誰が、なぜ無差別殺人を?
誰もが見落とした毒殺事件の「真実」が、時を経て、様々な人の証言で暴かれてゆく。■

■22-20sの感想■

■ねじの回転の解説にユージニアはやばい。やばすぎる。
恩田はついに次のステージにあがったっと絶賛の声が。
これは買うしかないと、即買い。即読みです。

たしかにこれは今まで読んだ中でも、トップクラスに完成度◎?
ではないですね(笑)
でも面白かった。
凝ったつくりの本だなあと感心しましたわ。

章ごとに視点が変わるのですが(この手法が面白い)その様はまるで、盲人が象を触るが如しとでもいいましょうか。
人の視点の差異を思い知ります。

視点がぐるぐる変わりながら、物語は終盤に向かうのですが、結局何がなんだかわかりませんでした。
たぶんこうなのかな?っと思うこともあるのですが、それ以上に恐い。
何がなんだかわからない恐怖みたいものを植え付けられます。

犯人の心の闇みたいなものはみんなあるもの。
なんだか悲しくもなりました。

言葉巧みにその世界へ。。。引きずり込む恩田さんの文章力にも恐怖。

なんだか違和感だらけで、ゾクゾクしました。

面白いよ、これ。(★★★★)■

ユージニア ユージニア

■□■ 黒と茶の幻想  / 恩田陸 ■□■

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■目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。 どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。 学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。 太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた『過去』の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか…? 華麗にして「美しい謎」、恩田陸の全てがつまった最高長編。■

■22-20sの感想■

■各章ごとに語り手が変わり、語り手の心の内を照らし出していく。
長ったらしくて、起伏があまりないのに一気に読めました。
若輩者の自分が言うのがなんですが、これは最高級の大人の恋愛小説だと思う。

一人一人の視点から話が進み、謎が解け、その人物が見えてくるところが非常に面白い。
一人一人に対する感情が浮き彫りになり、いろいろな念が想起し、交錯する。
各章ごとに語り手が変わるので、違った視点、目、こいつも実に面白い。
ほんま面白い構成だなと。
この手法だから、飽きずに一気に読めたのだなと。

次々に明かされる数々の過去の謎に引き込まれます。
静かな落ち着いた夜に読みたい一冊。(★★★★)■

黒と茶の幻想 黒と茶の幻想
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■□■ 夜のピクニック / 恩田陸/著 ■□■

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■高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。 ■

■22-20sの感想■

■もうすぐ、映画化させますね。

そんなこんなで読んでみました。

なんでしょう。ただ、高校生が一日中、だべりながら歩くって話。
なんの起伏もなく淡々としてるのに、こんなにも面白いなんて。
大した事件はないけど、突拍子のない設定はないけど、いろんなドラマがあって、「分かり合う」「許す」「認める」っていう、 
オトナになっても大事にしなきゃいけないことがたくさん。
そんな1冊。
一般的に「ダサい」って感じの学校行事を舞台に、これほど瑞々しい作品を仕上げる、恩田に感服。
視点がいいんですね、この作家は。
視点がよければ、なんでも面白くなる。

あと、なんでしょう。読んでるときの、まるで、昔、自分がこの(歩行祭)に参加していたって思ってしまう、この感覚は。
読み終えたあと、(歩行祭)を体験したようなこの感覚は。

とにかく学生時代に戻りたくなりました。
いい余韻が残ります。(★★★★☆)■

夜のピクニック 夜のピクニック

■□■ 三月は深き紅の淵を / 恩田陸/著 ■□■

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■鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。
彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。
たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。 ―幻の本「三月は深き紅の淵を」をめぐる4つの短編。
4章がつながっているようでつながってなくて、実際読んでるのも同じタイトルで、不思議な本.■

■22-20sの感想■

■恩田の作品は読めば読むほど味が出てくる。
これは今となれば恩田さんの特徴が1番あらわれた作品といえるかもしれない。 とにかくこの方は本好きなのであろうって、
これを読むとそれがひしひしと伝わってくる。

さて、内容的には「三月は深き紅の淵を」というタイトルの幻の本にまつわる話。 たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる様々なエピソード…

全4部からなる構成で、ワクワク感を持って読めるという点では本作は傑出した作品。

イメージ的には“テレビドラマのオムニバス形式みたいな感じで楽しむべき作品”ですね。

個人的には切なさが1番漂っている第3章が良かった。

 「物語」は人より生み出され、ときに人を解放し,ときに人を呪縛し,そして人を超えて生きていく・・・
そんな「物語」とは「いったい何なのか」
「人間にとって物語はどのような意味を持つのか」
などなど・・・「物語をめぐる物語」を、4編の「物語」によって、ときに象徴的に、ときにミステリアスに「物語った」のが本作品。

これを読んだ後『黒と茶の幻想』→『麦の海に沈む果実』→『図書室の海』の順で読む事をお勧めします。もう一つ言えば、これを読む前に『6番目の小夜子』を読むと尚良いかと思います。

いや、これには参りました(★★★★☆)■

三月は深き紅の淵を 三月は深き紅の淵を

■□■ 麦の海に沈む果実 / 恩田陸/著 ■□■

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■三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。
二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。
閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。
生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。
理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。■

■22-20sの感想■

■面白いです。 少なくとも、恩田陸の本を読んで面白い、と思ったことのある方には、お勧め。

「三月は深き紅の淵に」第四篇「回転木馬」に「『三月・・・』は・・・にてもにつかぬ小説であった。・・・幻想の学園帝国・・・」というくだりがあります(何のことだかわからない方は、「三月は深き紅の淵に」を読まれることをお勧めします。
それから「麦の海に沈む果実」を読んでも遅くはありません。
最初が肝心。順番が大事。いや、マジで)

この「幻想の学園帝国」を描いたのが「麦の海に沈む果実」ということのようです。

危うい印象をもつ主人公を中心に、現実離れした中高一貫の私立学校における出来事を淡々とつづっていくのですが・・・。

細かなエピソードや謎を積み重ねながら、迷走する思春期の少年少女たちの姿を描き出す手法は、作者独特の夢想と現実の入り交じった世界を描き出します。

最後の最後まで予断を許さない展開。

混沌の物語です。

最後で明らかにされた大きな謎さえもが、その先にさらに大きな謎を提出しているようでもあり、読み終えてすっきり、という感じでもなかった。

それにプラス『三月…』をモチーフにしたメタフィクショナルな構造が覆いかぶさってくる。
混沌のなかに引き込まれ、彷徨ったあげくに混沌から抜け出すと、さらに別の混沌のなかに投げ出されていた、という感じ。

  最後に理瀬が学園を出て向かう「世界」までもが、夢想と現実の入り交じった世界に思えてしまう。

小難しそうな話ですが、面白い。
はまるとやばいです。
物語に引きずり込まれます。

読んだあとはどっと疲れが。。。。
でも、そこで休まずに続けて「黄昏は百合の骨」を読むのが◎。

面白さ倍増しますよ。

これもいいね♪(★★★★☆)■

麦の海に沈む果実 麦の海に沈む果実

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